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ソロ・パブリッシュ

エア充。

『響け! ユーフォニアム』を読んで

2018.4.4(水)

図書館がリニューアルオープンしたので久々に出かけてみた。
棚の位置が前と変わっていて、ライトノベルコーナーにあった『響け! ユーフォニアム』
(武田 綾乃/宝島社文庫)という本が目に留まったので、借りて読んでみた。
これは、かつては全国大会金賞レベルだったが、県大会サイテーレベルにまで落魄してしまった
高校の吹部(吹奏学部の略称)が、顧問の先生に優秀な指導者が就いて、
ふたたび全国大会をめざすようになるというお話である。
最初のほうでは、レベルが落ちた部内には投げやりな空気が蔓延しているのだが、
1~3年生あわせて81名(!)と、部員数は多い。すげえな。少子化なのにな。
それと、先輩後輩の関係がユルいな。これが21世紀というものか。
ワシがおった部はもっと露骨にブラックだったわ。
でも部活というのはきほんどこもブラックだったんで、ブラックさに気がつかんのよ。
いまの世では、パワハラセクハラ、モラハラにアルハラ、種々のハラスメントが取り沙汰されるが、
それらが問題視されるようになったのは集合マインドが向上した証だと思う。

この吹部では、コンクールに出場するメンバーとともに、楽曲にソロがあるパートでは、
誰がソロを演奏するかがオーディションで決められることになった。
で、トランペットパートでは、3年生の香織先輩ではなく、1年生だけど圧倒的に巧い高坂麗奈が
ソロを受けもつことになる。この結果に不服な2年生の優子先輩が、麗奈に「おめーが譲れよ」
と迫るも、麗奈は引かない。このときの麗奈の言い分が、
「香織先輩よりアタシのほうが上手いから、だからアタシがソロなんですよ」
そこからもうひと悶着あって、
「ケチつけるなら、アタシより上手くなってからにしてください」
である。
よし、よく言った! と、オレは喝采したぞ。
トランペットパートというのは、音が大きくキラキラしく、主旋律とかハデなパッセージが多く、
ちょっとでもしくじると素人耳にもわかってしまう。
しかもソロがあるということは、たぶん麗奈の担当は1st奏者(1st~3rdに分かれている)であり、
ハンパない激烈なプレッシャーがかかるのだ。
このくらいのことを言えるようなタマでないと、トランペットのソロなぞできゃせん。

この騒動は練習中も尾を引き、コンクール直前にちょっとした出来事があって丸く収まるのだが、
実際にはそんなに引きずらないだろうな。
当の優子先輩や香織先輩をはじめ、みんな自分のことに一杯一杯になって、
引きずってる余裕がないからよ。
そしてコンクールが終われば(上の大会に進めばさらに燃え尽き度は上がる)まっ白な灰になり、
「そんなこともあったかな・・・なんだったんだろうね」的な空気に融解してしまう。

上記のような状況が他のパートで起きたら、きっとこんな感じじゃなかろうか。

<ホルン、オーボエ>
1st奏者になった麗奈が、
「ソロがないパートはどうでもいいんでしょうか? 2ndや3rdはヘタでもいいんでしょうか?
じゃないですよね? この2ndの譜面見てくださいよ、ここ、目立つし、難所です。
私的には審査の重要ポイントだと思います」
などと音楽論のほうへもっていき、楽曲について滔々と長広舌をふるってケムに巻く。で、
ケチをつけた優子先輩がまっ先に「だね。どのパートが大事とか、ないね」と説得されてしまう。
ちなみにホルンは4thまであり、オーボエは2ndまでしかない。

<フルート、クラリネット>
香織先輩が怒るか泣くかして音楽室を飛び出し、麗奈があとを追う。
「すみません、こんなことになるなんて・・・」
「いいの、高坂さんのほうが上手いんだから。それはわかってるんだ」
てな辛気くさい会話が廊下などで展開し、
周りを香織先輩の友人、1人パートのピッコロやバスクラリネットやファゴットの人などが囲み、
「それぞれ自分のパートがんばろう」的な文句で手打ちになる。
クラやフルートは16分音符、32分音符の細かい旋律、パッセージが多く、
運指やブレスのことで必死になるので、たぶん翌日にはうやむやになる。

<サックス>
麗奈が2、3年生から「降りろ」と迫られることはない。
ただ香織先輩のモチベーションがダダ下がりして3~4日、部活を休む。授業がすんでもすぐには
帰宅せず、部活が終わる時間までゲーセンやファミレスなどにいる。電話には出ない。
翌週の月曜日あたりに何ごともなかったかのように復帰し、練習を再開。

<トロンボーン>
香織先輩は「はぁ?」とふてくされた表情を隠さず、優子先輩は机やイスなどを蹴って八つ当たり
するが、揉めるのはめんどうくさいので、それ以上のことは起きない。
ほとぼりが冷めても、優子先輩はときどき「ミスんなよ。許さんど」と軽く麗奈を脅す。

<パーカッション>
誰もぐずぐず言わず、顧問の指示に従う。

<チューバ、ユーフォニアム、コントラバス>
香織先輩「がんばれ」、麗奈「はい」、といった言葉数の少ない淡々としたやりとりがあるのみ。
ソロ奏者発表時、優子先輩は、一瞬「ええっ、こんな下克上ありか!?」とは思うものの、
「今日は○△屋の惣菜が特売だから、夕飯はメンチカツじゃないかな、それともカツ丼」
といった類の思考がクレッシェンドしていって、音楽室から麗奈が出ていっても気がつかない。

<本のデータ>
書名/響け! ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ
著者/武田 綾乃(たけだ あやの)
発行所/株式会社 宝島社(宝島社文庫)
発行年月日/2013年12月19日
価格/657円+税
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  1. 2018/04/04(水) 18:20:50|
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